経団連は11月20日、東京・大手町の経団連会館で、ネバダ州貿易ミッション団との懇談会を開催した。米国ネバダ州のトム・バーンズ経済開発知事室事務局長、アレックス・バッカス北部地域担当局長をはじめとする州政府関係者らを招き、同州の産業構造やビジネス環境について説明を聴くとともに意見交換を行った。両氏による説明の概要は次のとおり。
■ バーンズ氏
ネバダ州は、ラスベガスという世界的なエンターテインメント都市を擁する一方で、広大な土地と豊富な資源を備えた米国最大の鉱業州である。
金の産出量は世界第5位に相当する。その他に銅、銀に加え、マンガン、マグネシウム、コバルトなど多様なレアメタルを産出し、近年では北米最大級のリチウム鉱床の開発が進んでいる。現在、多くの鉱物が州外・国外で処理されているが、環境負荷の低い技術を活用し、採掘から加工まで州内で完結できる体制構築を目指している。
州の土地の約88%は連邦政府が所有しており、そのなかには国防総省関連の三つの拠点が含まれる。これら拠点を活用することで、ドローンや航空分野実証試験が可能である。
こうした産業特性を踏まえ、今後日本企業との協力関係をさらに拡大したい。
■ バッカス氏
ネバダ州のビジネス環境の強みは、税制の優位性、西海岸の巨大市場へのアクセス、多様な産業基盤だ。
ネバダ州は個人所得税、法人所得税、相続税、贈与税がなく、税制面で魅力がある。
オークランド港・ロサンゼルス港それぞれに約4時間で到達でき、カリフォルニアを含む6000万人超の市場へ1日でアクセスできる地理的な利点がある。
産業面では、鉱業や観光業に加え、近年は半導体、半導体製造装置、化学、防衛・航空宇宙といった分野が成長している。
大学の高い研究力を生かし、スタートアップ支援や産学連携によるエコシステムの構築にも取り組んでいる。
こうした州の強みを踏まえ、短期的な企業誘致にとどまらず、日本企業と共に長期的で相互利益をもたらす経済関係を構築していきたい。
【国際経済本部】
