伊藤氏
経団連は11月27日、東京・大手町の経団連会館で環境委員会(小堀秀毅委員長、野田由美子委員長、宮田知秀委員長)と同地球環境部会(船越弘文部会長)の合同会合を開催した。経済産業省GXグループの伊藤禎則グループ長から、グリーントランスフォーメーション(GX)を巡る国内外の動向や今後の展望について説明を聴くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。
■ GXを巡る国内外の動向
日本経済は、賃金引き上げや投資拡大により長期停滞からの転換の兆しが見える一方、インフレや地政学リスク等に直面している。
経産省の一丁目一番地の政策は国内民間投資の後押しであり、そのためにGXを産業政策として位置付け、エネルギー政策と一体で進めている。
生成AIの普及を背景に世界の電力需要が増加するなか、「エネルギー移行」に加えて「エネルギー追加」(供給力拡大)が課題だ。
現状わが国は、国内エネルギーの多くを化石燃料の輸入に依存し、それが国富の流出や企業活動の制約につながっている。引き続き「脱炭素」「経済成長」「エネルギー安全保障」の三つを同時に追求する日本型のGXアプローチを堅持することが重要だ。
諸外国では、カーボンニュートラル(CN)実現に向けた取り組みの方向性が変化しつつある。シェールガスをはじめ国内のエネルギーアセットを最大限活用しようとする米国、CNと産業競争力の両立を目指すEU、再生可能エネルギー等の供給能力拡大を通じてエネルギーコスト削減を追求する中国など、さまざまである。
■ GX実現の具体策
わが国のGX実現のための具体的な取り組みとして、地域に遍在する脱炭素電源等を核に、GX型の産業集積やワット・ビット連携(電力・通信インフラの一体整備)を目指すべく、規制・制度改革と支援策を一体的に講じる「GX戦略地域」制度を2025年8月に創設した。
企業・自治体のコミットメントのもと、コンビナート等の再生やデータセンターの集積、再エネを100%供給可能な産業団地の整備などを進めていく。
GX製品・サービス市場の創出に向けてGX価値の見える化や官民の調達を促すとともに、特に排出量が多い企業を対象に、効果的かつ費用効率的な排出削減を促す排出量取引制度(GX-ETS)の設計も進めている。
複数年度にわたる政府支出により、大型の研究開発や設備投資、水素・アンモニア、原子力、再エネ等への投資も後押ししている。
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説明後、経団連CN行動計画25年度フォローアップ結果(速報版)ならびに26年度以降の同計画のあり方について審議し、了承された。
国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)の模様と経団連の活動の報告があった。
【環境エネルギー本部】
