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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年5月29日 No.3684 B7オタワサミットに参加 -G7へ共同提言を発出

G7サミット(6月15~17日、カナダ・カナナスキス)に先立ち、5月14~16日、カナダ商工会議所が主催するG7ビジネス・サミット(B7サミット)がカナダ・オタワで開かれ、経団連から東原敏昭副会長、兵頭誠之副会長が参加した。

B7サミットでは、各国の参加者から米国の関税措置が企業活動に悪影響を与えているとの意見が相次ぎ、分断が深まっている厳しい国際情勢においてこそ、G7が結束すべきとの考えで一致した。その他、貿易、経済安全保障、エネルギー、AIなどのテーマについてパネルディスカッションが行われた。これらに対する経団連の考えを盛り込んだB7共同提言が、サミット終了時にカナダ政府に手交された。B7サミットの概要は次のとおり。

東原副会長(右から2人目)

兵頭副会長(左から1人目)

■ B7各団体の意見

米EUの経済団体の代表と共に東原副会長がパネルに登壇した。東原副会長は、自由で開かれた国際秩序が大きな挑戦を受けているなか、G7各国が結束することが重要であり、そのためには米国のみに頼るのではなく、各国が自立して強くなることが重要であると指摘。日本は、防衛力の強化やエネルギー自給率・食料自給率の向上が必要と言及した。また、経済秩序が多極化するなかで、G7での合意をミニラテラルな枠組みで進め、グローバルなルールにつなげることが必要と発言した。加えて、AI等の技術の活用に当たっては、まず将来の社会のあり方を設計することが重要であり、経団連では「FUTURE DESIGN 2040」(FD2040)を取りまとめたことを紹介した。

全米商工会議所のスザンヌ・クラーク理事長は、米国の関税措置には反対と明確に述べたうえで、中小企業が生産している製品、米国で生産していない製品については対象からの除外を求めていると言及した。

欧州の経済団体からも同様に、自由貿易を脅威にさらし、予見可能性と透明性を損なう米国の関税措置に対する懸念が相次いで表明された。

■ サプライチェーンに関する議論

兵頭副会長はサプライチェーンに関するセッションに登壇。サプライチェーンが複雑に入り組むなかで実施された米国の関税措置は、ビジネスに大きな影響を及ぼしていると指摘。日本政府には可能な限り早期の合意を目指すよう求めているものの、拙速な合意に事を運ばないよう「じっくり急ぐ」ことが重要と発言した。また、グローバル化は世界経済の成長に貢献してきた一方、国内や国家間の分断の問題は依然として存在しており、世界貿易機関(WTO)がこれらの課題に対応できていないなかでは、二国間の経済連携協定(EPA)や、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)のような複数国間の枠組みを通じて自由貿易の輪を広げ、推進していくことが重要と主張した。

◇◇◇

今次サミットでの議論が政府間の交渉を後押しし、B7の共同提言が6月15~17日に開催されるG7カナナスキスサミットでの議論に反映されることが期待される。

【国際経済本部】

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