
キャンベル氏
経団連は4月21日、東京・大手町の経団連会館で、2025年1月まで米国務副長官を務めた、アジア・グループ(TAG)のカート・キャンベル会長兼共同創設者との懇談会を開催した。25年の地政学上の重要課題と日本企業に与える影響について説明を聴いた。概要は次のとおり。
■ 米国政権の三つのグループ
現在の米国政権には三つのグループが存在している。
一つ目の「スーパーMAGA(Make America Great Again)」グループは、トランプ大統領のイデオロギーの貫徹を考えている。
二つ目のグループは伝統的な共和党の考え方を取っており、国家安全保障体制を重要視している。日米関係も重視している。
三つ目は政権で要職に就いている強力なビジネスマンたちである。
このようなグループが存在するが、最終的にはトランプ大統領が決定権を持っている。どの政権でもあるように、それぞれが影響力の拡大を狙っており、最終的にどのグループが大統領の支持を得るか、いまだ定かではない。
トランプ大統領の支持率は就任以降、大きく下がっており、不安定な立場に立たされている。関税を含めトランプ大統領が望む政策を決定し、遂行することは難しくなっている。
■ 日米関係強化に向けた日本の経済界への期待
私はこれまで35年にわたって日米関係に携わり、両国関係の強化に努めてきた。
第1次トランプ政権時には、安倍晋三内閣総理大臣(当時)の粘り強い働きかけにより、トランプ大統領の世界観や日本観が形成され、両国関係の安定化が図られた。
第2次トランプ政権発足後、日本を含む各国に相互関税等が課され、日米韓で二国間協議が開始されている。
日米関係は現在、厳しい時期にあるが、両国関係を強化するためには、外交官に委ねるだけでなく、民間企業が重要なバランサーとしてリーダーシップを執ることを期待する。日本企業は意見発信に慎重な面があるが、日本企業の技術や投資がどれだけ米国の経済社会に貢献しているか、積極的に発信することが重要である。
【国際経済本部】